ヴィパッサナー瞑想をしてみた。

ヴィパッサナー瞑想 in アメリカ

ヴィパッサナー瞑想という言葉は聞いたことがありますか?これは、仏教で学ぶ瞑想法の1つです。実は去年の冬にマサチューセッツ州へ10日間の瞑想へ行ってきました。10日間、瞑想を練習している人と話すことは出来ません。(必要に応じでセンターのスタッフと先生への質問などはOKです)携帯、パソコンの使用は禁止です。歌ったり、何か書きとめることなどもしてはいけません。

これは、10日間「自分」とだけ向き合う為です。ヴィパッサナー瞑想は3年前にいいよと旦那さんに勧められました。でも、ずっと渋って行く決意を持てませんでした。なぜなら、ピアノの練習を10日間もの長い時間練習できないことが1番の理由でした。あとは、人との関係やコミュニティーから離れる勇気がなかったからです。今思えば、これらの不安は自分の持つ「執着」からくるものでした。

しかし、2022年の末。新しい自分に出会うつもりで、思い切って行ってみました。結論から言うと、体験を通して皆さんにもお勧めできる瞑想です。

ニューヨークでの瞑想をする意味とは?

ニューヨークは殺伐としていて時折、精神がまいりそうになります。なので、心の安定を求めて瞑想をする人が多くいます。例えば、アーティストなどはトランセデンタル 冥想(超越瞑想)をしている人が多いようです。これは、ヴィパッサナー瞑想よりも短時間で済み、効率的なので人気があります。ヒンズー教由来です。有名な音楽家では、ビートルズやビーチ・ボーイズなどがしていました。瞑想しながらマントラを唱えるようです。

では、ヴィパッサナー瞑想とは?

ヴィパッサナー瞑想は仏教です。実際に体験してみて日本のお寺の修行と似ているのかな?と思いました。しかし、日本の肩を叩かれるような厳しい修行ではありません。座禅は組みます。

まえがみ
まえがみ

この瞑想体験をしてから仏教に興味を持ち始めました。

大まかに瞑想の違いを勉強できる素晴らしいサイトを見つけました。是非チェックしてみてください。また、「ヴィパッサナー やばい」などの検索キーワードが出てきますが、結論からいうと、やばくないという内容が書かれている記事のみです。日本は過去にはオウム真理教。最近では統一教会問題など悪意のある教団による事件が目立つので警戒してしまいますね。しかし、ヴィパッサナー瞑想は教団やカルト集団ではありません。

一般の人が10日間のコースにサインアップして、瞑想を一生懸命練習して、笑顔で元気になって戻ってくるだけのお話です。

料金は払うのか?

無料です。これは仏教を通してモラルも勉強するからです。この瞑想を人々に教えるということをビジネスにしてはいけないという理念のもとで成り立っているオーガニゼーションです。それは、ゴエンカさんを始め、代々の先生たちもそれを守ってきました。

寄付をするのは自由です。私は300ドル寄付しました。自分の生活の中では大きな金額です。でも、10日間で学んだこのスキルは一生使えると思いました。また、これでみんなにも元気になってもらいたいとも思いました。

割と女性より男性の方が寄付をする傾向にあるようです。女性の方々はサービングといってお掃除を一生懸命していました。社会貢献という形で感謝の意を表すことも出来ます。

寄付されたお金はどこへ行くのか?

この寄付金は瞑想道場の向上や世界に道場を増やすためなどに費やされます。例えば、マサチューセッツの瞑想道場はかつてはシェアルームでした。現在は一人一部屋あります。

この10日間コースに参加すると、営利目的でないことが深く理解できます。この記事を読んでる方の中には、「え、教団(日本の一般的印象として)が増えてくの?」というマイナス印象を持たれるかもしれません。教団ではありません。監禁施設が増えるということではありません。逆に、私はこの道場が増えればもっと心の安定した人が増えるだろうなという印象です。

この瞑想で何を一番学ぶのか?

それは『平常心』です。日本でも重んじられる平常心を身につけることが出来ます。平常心を鍛えることで「執着」がなくなります。「愛着」も執着と一緒です。「平常心」が身につくとマインドのバランスを整えることが出来ます。

また、「先入観」がなくなります。例えば、「あの人は私のことをこう思っている」などの被害妄想など。これらも「執着」です。また、「自分」への執着です。「自分」はこうあるべきと言う考えです。「自分」を意識した瞬間から「苦」が始まります。

[ヴィパッサナー瞑想の効果は?]

では男性にはどのような人がいる?

旦那さんの話ではITの会社経営者や教授など、割とアンビシャスな人が多いようです。なので、お金を持っているので寄付をする金額も大きい。寄付をすると名前を書きます。$1000寄付をしている方もいました。

ユヴァル・ノア・ハラリ

また、『サピエンス全史』の著者であるユヴァル・ノア・ハラリがこの瞑想をすることで有名なので、それで更に人気が出たようです。


ゴエンカさんという先生

このヴィパッサナー瞑想のやり方を教えてくれるのがゴエンカ先生です。彼は、インド出身の方ではありません。現在問題多きミャンマー、かつての国名ブルマ出身の方です。彼は保守的なヒンズー教のお家に生まれました。子供の頃から酷い頭痛が治まらず 治療を求めているうちにヴィパッサナー瞑想に出会いました。その時の師匠がU Ba Khin (ウ・バ・キン)です。ヴィパッサナー瞑想を練習したことで頭痛が治り、さらに宗教を超える仏教の教えに興味を抱き勉強を深めていきました。仏教は、宗教というよりは「教え」とか「行動」というような感じですよね。

偶像ではありません

ゴエンカさんは、キリストのような偶像ではありません。彼に向かって拝むことは一切ありません。教えてくださったお礼にお辞儀をする人々はいます。また、彼自身、自分が崇拝されることを嫌っています。なので彼に関するグッズなどは全くありません。

また、仏教というのは口頭で伝えていくことに意味があるようです。なので、あまり書き残したりしません。念仏(チャント)のような声の深みや言い回しでその教えを説いていくことが重要なようです。これらの理由から、ゴエンカさんは全く有名ではありません。

10日間の瞑想コース

この瞑想をマスターする為には、絶対に10日間のコースを受けなければいけません。また、様々な本が出版されていますが、自分で勉強することは危険だとのことです。というのは、ヴィパッサナー瞑想は自分のかなり深いマインドへ到達するからです。例えば、私は10日間でかなりのアップダウンがありました。3日目にはヴィパッサナー瞑想へ不信感を抱きました(ゴエンカさんのビデオをはじめは少し怪しく思っていたようです)4日から理解し始め、徐々にわかっていきます。

途中で帰ってはいけません

もしかしたら、ここが皆さんの不安要素になっているかもしれません。監禁!?というような先入観が入ってしまいますね。もちろん、帰ってもOKです。しかし、個人的にも帰らない方が良いと思いますし、帰るほど辛くないです。

途中で帰ることの弊害

時には、過去の記憶や、様々な感情が蘇ってきたりします。また、奇妙な夢や怖い夢を見たりもします。その理由はわかりません。悪夢はみんな見たようで、9日目にみんなで話しました。毎日全く違う自分を日々発見します。そして、脳内で何が起こっているのかもわかりません。

途中でやめるとその後人生に悪影響を及ぼすと言われています。その意味がわかる気がします。例えて言うならば、手術中に痛いから逃げるようなもので、傷口は開いたままな感じでしょうか?

どのような流れ?

アーナパーナ瞑想

初めの3日間は、アーナパーナ瞑想といって呼吸の練習をします。これは、呼吸そのものの練習というよりは「意識」の練習のようです。集中力を高めます。鼻の下と唇の上のわずかな間に細い息を感じる練習です。これを続けると、目と目の間がジリジリしてくる感覚があります。さらに3日間続けると、神経が非常に鋭くなります。例えば、微音が聞こえるようになる。味覚も鋭くなります。また、視力もちょっと良くなったような感覚になります。

トランス状態

3日目に私はトランス状態を経験しました。すごく気持ちがよいのです。しかし、これを感じるとこれを追い求めるようになりました。これが1つの学習でした。ヴィパッサナー瞑想でこの感覚をも観察しなければいけません。体のあらゆるセンセーションをただただ観察することが重要なのです。トランス状態を求めた時から「苦」が始まりまります。何も追い求めず、とにかく観察し続けることこそが、アーナパーナをはじめ、ヴィパッサナー瞑想の練習です。この練習が日常生活に役立つようになります。

ヴィパッサナー瞑想

次の3日間はヴィパッサナー瞑想の練習です。ゴエンカさんが順序よく教えてくれます。この時の体感は個人差が出てきます。目を閉じた状態で自分の体の部分を観察します。目は動かしません。これがなかなか難しく、とても違和感を感じます。それができるようになるように練習します。

最後の3日も練習を続けます。そして9日目にやっと人と話すことが出来ます。みんな、爆発したかのように堰を切って話し出します。色々な出会いがありました。


1日のスケジュール

ザックリ書きます。

朝4時起床 

4時半から6時半まで瞑想 (2時間座禅)これが一番辛い時間かもしれません。ここは、怠けようと思えば怠けることが出来ます。例えば、お部屋でそのまま寝続けるなど。道場へ行って瞑想することをお勧めします。

6時半朝食

8時から9時まで瞑想

そしてそのあと教わる瞑想

11時にお昼

休憩を挟んで さらに瞑想

5時夕食

6時瞑想

そして夜の7時半からは、ゴエンカさんのビデオを見ます。90年代の古いビデオなので一瞬怪しいと思ってしまうかもしれません。

ここでポイント

日本語に訳されたものを道場の外でヘッドフォンで聴くことができます。しかし、私はそのまま怪しいビデオを見ることをお勧めします。ゴエンカさんのアクセントの強い英語を頑張って聞いてみてください。彼の喋り方、声、キャラクターが日毎にわかってきます。これを「マインドコントロールだ」と言われるとそれまでなのですが、今日までこの教えが私の日々を180度良い方向へ変えてくれました。

ご飯は?

基本的にヴィパッサナーは動物を殺してはいけないという教えがあるので、瞑想センターでは菜食です。十日後には痩せて帰ります。(現在、元に戻ってぷっくりしてます)

自分がどのような日々を過ごしたか?

ほとんど泣いてました。まず、1日目の朝4時半から6時半の座禅で泣きました。痛みが酷く座っていられないのです。しかし、動いてはいけません。残りの日々を数えると途方もなく辛くなりました。

数日後には、アメリカへ来てからの20年で、初めてホームシックにかかりました。両親というより、「お父さん」と「お母さん」が恋しくなったのです。思い出すのはニューヨークでの日々ではありません。幼かった頃の良い思い出ばかりでした。両親のことばかりでした。本当の心の内が見えてきます。

座禅の意味

初めはとても痛いです。この痛みに耐えることで自分が純粋だったころに戻ります。また、痛みを乗り越えないと次のステップへは行けません。日本のお寺の座禅と同じです。怠けようと思えば怠けられます。例えば、必要以上に動いたり、足の組み方を変えたりなど。でも、甘えてしまうと本質が見えてきません。3、4日目頃から痛みに耐えられるようになり、個人差はありますが9日目には痛みがさほど感じられなくなります。

瞑想をするようになってから

10日間の瞑想スケジュール、すべての練習を真面目に行ないました。ゴエンカさんに「真面目に一生懸命練習しなさい」と言われたので、先生がおっしゃられた通りに一生懸命練習しました。辛かったですが、一日一日と自分の中で変化が起こるのを感じていたので頑張ることができました。

コースを終えてから1日、2時間の瞑想

10日間のコースで終了ではありません。ヴィパッサナー瞑想は下界に戻ってからも毎日練習するからこそ効き目があります。朝に1時間、夜に1時間。1日2時間の瞑想が求められます。とは言っても、これがなかなか難しい。現在最低1時間はするように心がけています。


効果は?

現在も毎日練習することで、仕事の効率がかなり上がりました。また、ピアノの練習の集中力も上がりました。そして、音も聞こえるようになりました。例えば、5時間かかる内容の仕事が2時間になったりします。さらに、怒りという感情がほとんどなくなりました。それは、あらゆることに反応しなくなるからです。

ヴィパッサナー瞑想道場で出会った人々

様々な人がいました。夫との12年の関係に悩んでいたカナダから来た女性。松葉杖をついた高齢の方は初めは泣いていましたが、最終日には杖なしでひょいひょい歩いていました。また、ボランティア活動しながら旅行のみで生きている女性や、AIのアルゴリズムを研究している女性もいました。ロシア人も何人かいました。去年の戦争でアメリカに住むロシア人として辛い思いをしたことから来ている人もいました。

車輪の意味(Wheel )

最後にアイキャッチの写真は車輪のキーホルダーですね。ヴィパッサナー冥想のサイトへ行くと、くるくる回る車輪が目に付きます。これは「法輪」だそうです。仏教を勉強し始めてわかったことは、これは仏教のシンボルマークでした。

ゴエンカさんの教えの中で、このヴィパッサナー瞑想を習得することで「幸せの車輪」が後からついてくるでしょうとおっしゃていました。しかし、この「法輪」には様々な意味があるようなので、学び続けなければいけません。

まとめ

ともすると、日本のあらゆるカルト集団と混同されがちですが全く違います。日本のお寺の修行と似ているというのが一番わかり易い説明かと思います。また、今回の瞑想体験がきっかけで「だるま」への興味も持ち始めました。そうです。だるまさんの由来も調べてみると面白いです。実行する前は、10日間も休みを取ることに抵抗がありました。しかし、この10日間が今後10年20年にどれだけの富(お金ではありません)を生み出すか身をもって経験することが出来ました。ぜひ、行ってみてください。日本にもあります。

まえがみ
まえがみ

Be Happy

シェアする