ヴィパッサナー瞑想|10日間の修行へ行く

ヴィパッサナー瞑想 |10日間の修行をご紹介

ヴィパッサナー瞑想とは、仏教の伝統的な瞑想法であり、内面の洞察と心の平静を得るための方法です。2022年の冬、私はマサチューセッツ州で10日間のヴィパッサナー瞑想コースに参加しました。この年、家族との大きな揉め事があり、すべてがバラバラになってしまいました。そのため、自分と向き合う決意をしてこの瞑想コースに参加することにしました。

このコースでは、他の参加者との会話が禁止されており(センタースタッフや先生への質問はOK)、携帯電話やパソコンの使用も制限されています。さらに、歌ったり、メモを取ることも禁止されています。

この10日間は、完全に「自分」と向き合うための時間です。実は、3年前に夫からヴィパッサナー瞑想を勧められていましたが、長期間ピアノの練習ができないことや、人間関係から離れることへの不安から、なかなか決心がつきませんでした。今振り返ると、これらの不安はすべて自分の「執着」から来ていたことに気づきました。

2022年末、新しい自分を見つけるために意を決してこの瞑想コースに参加しました。その結果、ヴィパッサナー瞑想を通じて得られた体験は、非常に貴重であり、皆さんにもぜひお勧めしたいと感じています。

ヴィパッサナー瞑想の安全性と魅力

日本では過去にオウム真理教、最近では統一教会問題など、悪意のある教団による事件が目立ちます。そのため、瞑想やスピリチュアルな活動に対して警戒心を持つのも無理はありません。しかし、ヴィパッサナー瞑想は教団やカルト集団とは全く異なります。

ヴィパッサナー瞑想は、一般の人が10日間のコースに参加し、瞑想を真剣に練習することで心身の健康を取り戻すためのプログラムです。この瞑想法は、誰でもサインアップでき、終了後には笑顔で元気になって戻ってくることが期待できます。

ヴィパッサナー瞑想の料金と寄付について

ヴィパッサナー瞑想に参加するには料金はかかりません。この瞑想法は、仏教を通じてモラルを学ぶためのものであり、ビジネスとして提供されていないのです。これは、ゴエンカさんを始めとする代々の先生たちが守り続けてきた理念です。

ヴィパッサナー瞑想に参加するには料金はかかりません。寄付は自由です。私は300ドルを寄付しました。これは私にとって大きな金額ですが、10日間で学んだスキルは一生使えるものであり、この瞑想を通じて多くの人々が元気になることを願っています。宿泊や食事、個別の部屋が用意されているので、10日間の滞在としては非常にリーズナブルです。

さらに、この瞑想のおかげで対人関係が改善し、普段の生活の収入も増えるようになりました。

ヴィパッサナー瞑想の寄付と社会貢献

ヴィパッサナー瞑想では、一般的に男性が寄付をする傾向があります。一方、女性は掃除などの奉仕活動を通じて感謝の意を表しています。寄付だけでなく、社会貢献という形で感謝の意を示すことも可能です。

寄付金は瞑想道場の向上や、世界中に新しい道場を増やすために使われます。例えば、マサチューセッツの瞑想道場はかつてシェアルームでしたが、現在は一人一部屋が提供されています。

10日間のコースに参加すると、この瞑想が営利目的ではないことが深く理解できます。この記事を読んでいる方の中には、「教団が増えるの?」という疑念を持つ方もいるかもしれません。しかし、ヴィパッサナー瞑想は教団ではありませんし、監禁施設が増えるわけでもありません。逆に、この道場が増えれば、心の安定した人がもっと増えると私は感じています。

ヴィパッサナー瞑想で学ぶこと:平常心

ヴィパッサナー瞑想で最も学ぶべきことは「平常心」です。日本でも重んじられるこの平常心を身につけることで、心のバランスを整えることができます。平常心を鍛えることによって「執着」がなくなり、「愛着」も含めたあらゆる執着を手放すことができるのです。

さらに、ヴィパッサナー瞑想は「先入観」をなくす効果があります。例えば、「あの人は私のことをこう思っている」などの被害妄想や、「自分はこうあるべき」という自己執着から解放されます。これらの先入観や執着が「苦」の原因であり、ヴィパッサナー瞑想を通じてそれを克服することができます。

「自分」への執着を手放すことにより、心の平静を保つことができ、人生の質が向上します。ヴィパッサナー瞑想は、これらの内面的な変化をもたらし、心の安定と幸福を実現するための有効な手段です。

ゴエンカさんとヴィパッサナー瞑想

ゴエンカさんは、キリストのような偶像ではありません。彼に対して拝むことは一切ありません。ただ、教えを受けた感謝の気持ちを表すためにお辞儀する人々もいます。しかし、彼自身は崇拝されることを好まず、彼に関連するグッズなども存在しません。

また、仏教の伝統では、口頭での教えが重要視されるため、あまり書き残すことはありません。特に念仏(チャント)のように声の深みや言い回しで教えを説くことが重要視されます。このため、ゴエンカさん自体は一般的にはあまり知られていません。

10日間の瞑想コース

この瞑想をマスターする為には、絶対に10日間のコースを受けなければいけません。また、様々な本が出版されていますが、自分で勉強することは危険だとのことです。というのは、ヴィパッサナー瞑想は自分のかなり深いマインドへ到達するからです。例えば、私は10日間でかなりのアップダウンがありました。3日目にはヴィパッサナー瞑想へ不信感を抱きました(ゴエンカさんのビデオをはじめは少し怪しく思っていたようです)4日から理解し始め、徐々にわかっていきます。

途中で帰ってはいけません

もしかしたら、ここが皆さんの不安要素になっているかもしれません。監禁!?というような先入観が入ってしまいますね。もちろん、帰ってもOKです。しかし、個人的にも帰らない方が良いと思いますし、帰るほど辛くないです。

途中で帰ることの弊害

時には、過去の記憶や、様々な感情が蘇ってきたりします。また、奇妙な夢や怖い夢を見たりもします。その理由はわかりません。悪夢はみんな見たようで、9日目にみんなで話しました。毎日全く違う自分を日々発見します。そして、脳内で何が起こっているのかもわかりません。

途中でやめるとその後人生に悪影響を及ぼすと言われています。その意味がわかる気がします。例えて言うならば、手術中に痛いから逃げるようなもので、傷口は開いたままな感じでしょうか?

どのような流れ?

アーナパーナ瞑想

初めの3日間は、アーナパーナ瞑想といって呼吸の練習をします。これは、呼吸そのものの練習というよりは「意識」の練習のようです。集中力を高めます。鼻の下と唇の上のわずかな間に細い息を感じる練習です。これを続けると、目と目の間がジリジリしてくる感覚があります。さらに3日間続けると、神経が非常に鋭くなります。例えば、微音が聞こえるようになる。味覚も鋭くなります。また、視力もちょっと良くなったような感覚になります。

トランス状態

3日目に私はトランス状態を経験しました。すごく気持ちがよいのです。しかし、これを感じるとこれを追い求めるようになりました。これが1つの学習でした。ヴィパッサナー瞑想でこの感覚をも観察しなければいけません。体のあらゆるセンセーションをただただ観察することが重要なのです。トランス状態を求めた時から「苦」が始まりまります。何も追い求めず、とにかく観察し続けることこそが、アーナパーナをはじめ、ヴィパッサナー瞑想の練習です。この練習が日常生活に役立つようになります。

ヴィパッサナー瞑想

次の3日間はヴィパッサナー瞑想の練習です。ゴエンカさんが順序よく教えてくれます。この時の体感は個人差が出てきます。目を閉じた状態で自分の体の部分を観察します。目は動かしません。これがなかなか難しく、とても違和感を感じます。それができるようになるように練習します。

最後の3日も練習を続けます。そして9日目にやっと人と話すことが出来ます。みんな、爆発したかのように堰を切って話し出します。色々な出会いがありました。

1日のスケジュール

ザックリ書きます。

朝4時起床 

4時半から6時半まで瞑想 (2時間座禅)これが一番辛い時間かもしれません。ここは、怠けようと思えば怠けることが出来ます。例えば、お部屋でそのまま寝続けるなど。道場へ行って瞑想することをお勧めします。

6時半朝食

8時から9時まで瞑想

そしてそのあと教わる瞑想

11時にお昼

休憩を挟んで さらに瞑想

5時夕食

6時瞑想

そして夜の7時半からは、ゴエンカさんのビデオを見ます。90年代の古いビデオなので一瞬怪しいと思ってしまうかもしれません。

ここでポイント

日本語に訳されたものを道場の外でヘッドフォンで聴くことができます。しかし、私はそのまま怪しいビデオを見ることをお勧めします。ゴエンカさんのアクセントの強い英語を頑張って聞いてみてください。彼の喋り方、声、キャラクターが日毎にわかってきます。これを「マインドコントロールだ」と言われるとそれまでなのですが、今日までこの教えが私の日々を180度良い方向へ変えてくれました。

ご飯は?

基本的にヴィパッサナーは動物を殺してはいけないという教えがあるので、瞑想センターでは菜食です。十日後には痩せて帰ります。(現在、元に戻ってぷっくりしてます)

自分がどのような日々を過ごしたか?

ほとんど泣いてました。まず、1日目の朝4時半から6時半の座禅で泣きました。痛みが酷く座っていられないのです。しかし、動いてはいけません。残りの日々を数えると途方もなく辛くなりました。

数日後には、アメリカへ来てからの20年で、初めてホームシックにかかりました。両親というより、「お父さん」と「お母さん」が恋しくなったのです。思い出すのはニューヨークでの日々ではありません。幼かった頃の良い思い出ばかりが鮮やかに蘇ってきます。

座禅の意味

初めはとても痛いです。この痛みに耐えることで自分が純粋だったころに戻ります。また、痛みを乗り越えないと次のステップへは行けません。日本のお寺の座禅と同じです。怠けようと思えば怠けられます。例えば、必要以上に動いたり、足の組み方を変えたりなど。でも、甘えてしまうと本質が見えてきません。3、4日目頃から痛みに耐えられるようになり、個人差はありますが9日目には痛みがさほど感じられなくなります。

瞑想をするようになってから

10日間の瞑想スケジュール、すべての練習を真面目に行ないました。ゴエンカさんに「真面目に一生懸命練習しなさい」と言われたので、先生がおっしゃられた通りに一生懸命練習しました。辛かったですが、一日一日と自分の中で変化が起こるのを感じていたので頑張ることができました。

コースを終えてから1日、2時間の瞑想

10日間のコースで終了ではありません。ヴィパッサナー瞑想は下界に戻ってからも毎日練習するからこそ効き目があります。朝に1時間、夜に1時間。1日2時間の瞑想が求められます。とは言っても、これがなかなか難しい。現在最低1時間はするように心がけています。

効果は?

現在も毎日練習することで、仕事の効率がかなり上がりました。また、ピアノの練習の集中力も上がりました。そして、音も聞こえるようになりました。例えば、5時間かかる内容の仕事が2時間になったりします。さらに、怒りという感情がほとんどなくなりました。それは、あらゆることに反応しなくなるからです。

ヴィパッサナー瞑想道場で出会った人々

様々な人がいました。夫との12年の関係に悩んでいたカナダから来た女性。松葉杖をついた高齢の方は初めは泣いていましたが、最終日には杖なしでひょいひょい歩いていました。また、ボランティア活動しながら旅行のみで生きている女性や、AIのアルゴリズムを研究している女性もいました。ロシア人も何人かいました。去年の戦争でアメリカに住むロシア人として辛い思いをしたことから来ている人もいました。

車輪の意味(Wheel )

最後にアイキャッチの写真は車輪のキーホルダーですね。ヴィパッサナー冥想のサイトへ行くと、くるくる回る車輪が目に付きます。これは「法輪」だそうです。仏教を勉強し始めてわかったことは、これは仏教のシンボルマークでした。

ゴエンカさんの教えの中で、このヴィパッサナー瞑想を習得することで「幸せの車輪」が後からついてくるでしょうとおっしゃていました。しかし、この「法輪」には様々な意味があるようなので、学び続けなければいけません。

まとめ

ともすると、日本のあらゆるカルト集団と混同されがちですが全く違います。日本のお寺の修行と似ているというのが一番わかり易い説明かと思います。また、今回の瞑想体験がきっかけで「だるま」への興味も持ち始めました。そうです。だるまさんの由来も調べてみると面白いです。実行する前は、10日間も休みを取ることに抵抗がありました。しかし、この10日間が今後10年20年にどれだけの富(お金ではありません)を生み出すか身をもって経験することが出来ました。ぜひ、行ってみてください。日本にもあります。 次のステップはサービングをする。サービングとは?

ユバル・ノア・ハラリとヴィパッサナー瞑想

まえがみ
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