ロー対ウェイド判決ってなに?アメリカ合衆国憲法14条が揺らぐ。

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ロー対ウェイド判決ってなに?アメリカ合衆国憲法14条が揺らぎ始めている。

2022年6月24日金曜日に、米連邦最高裁が、胎児心拍(妊娠6ヶ月)のある状態で女性が健康でありながら中絶した場合は違法である決断を下しました。これは、レイプの様に望まない妊娠でも中絶することが出来ない州があるということです。

しかし、これは米国連邦の判断。州法によって中絶を選ぶ権利が守られる州はまだあります。例えば、ニューヨーク州やカリフォルニア州など。しかし、テキサス州を含め8つの州はもう中絶をすることは出来ません。また、州法に守られている州に行けば中絶は出来ますが、お金のない女性の場合は苦しい状況となります。

以下のリンクから、米国の中絶出来る州とそうでない州の色別状況を見ることが出来ます妊娠中絶の法律現在の状況:州によって色が今後赤色へ変わっていく州は、中絶を選ぶことが出来ません。

日本のヤフーニュースなどでは、「ロー対ウェイド判決が覆された」と言う内容になっています。これだけでは、説明不十分にも感じるので、今回自分なり解説してみたいと思います。

まえがみ
まえがみ

調べました、頑張って説明します。

ローって誰?ウェイドって誰?から行きます。

アメリカは、人の名前が度々法律の名前になったりします。ローは、ノーマ・マコービーという女性。既に亡くなっています。1973年20代初頭に妊娠し、体が健康であるのにも関わらず(これが今回のポイントとなってきます)中絶を選べない事実は、憲法14条にあるプライバシー法に違反している。として、テキサス州を相手に訴えました。その当時のテキサス州ダラスの地方検事がヘンリー・ウェイド

昔は、中絶は当たり前でした。しかし、60年代に母体への影響をもとに一度中絶は禁止になっていました。そして、1973年がきっかけに中絶出来るようになるのです。

ジェーン・ローという女性 (ノーマ・マコービー)

ノーマ・マコービーは当時、身元を隠すためにジェーン・ロー という仮名を使用していました。この女性は貧乏な家に育ち、レイプされた経験もあるなど壮絶な人生を送りました。最後に結婚した相手との間に3人目の子供が出来、その子を中絶するために訴えた事件。しかし、結果的には中絶が間に合わず生んだようです。裁判は勝訴。その後、フェミニストとしてリーダー格になりますが、周りと上手くいかず。途中からクリスチャンになり中絶反対派に転換。全くアベコベな女性です。

ヘンリー・ウェイドという検事

この人は、この事件で有名なだけではありません。ジョン・F・ケネディが暗殺されたテキサス州ダラスで起こった時。ウェイドの事務所から数ブロックの事件でした。彼は、ケネディの暗殺者を数日後に暗殺したジョン・ルディーを殺人罪の罪で勝訴したことで有名です。これも奇妙なお話。



ローがウェイドに勝った裁判が今回覆されたと言うことです。

しろ
しろ

では、どう言うことか?

まとめると、この1973年にローが勝ち取った理由としては、米国憲法の14条のプライバシー法の解釈では、「女性が中絶を選択する権利は、プライバシー法に基づき自分で選び決断することができる」を元に勝ち取った権利でした。

アメリカにはプライバシー法というのが憲法14条の中にあります。個人のプライバシーは法の下に守られる。なので、自分の体のことは、自分で決める権利があると言うことです。

覆した側の言い分

米国憲法14条のプライバシー法にこの妊娠中絶は含まれないと言う解釈が今回の投票による判決です。また、もともと中絶は母体に悪影響です。女性の体を守る立場や、キリスト教の宗教上からの解釈も絡んでいることもあります。何が米国憲法14条のプライバシー法に引っかかるのか?それは、女性が自分で選ぶという権利です。自分の体のことは、自分で決めるという当たり前の権利が奪われようとしている点が大問題です。

[女性の権利を勝ち取るには時間がかかった]

現在の米連邦裁判所の最高裁判事が共和党寄り

日本にいたら、今回の事件は全く関係ないと思うかも。でも、そうでもないです。何故かと言うと、日本の憲法はアメリカの憲法をモデルに作っているからです。憲法14条もアメリカの憲法の14条にそっくり。法の下の平等です。

法律が一番強い。その法の下で私たちの今日当たり前とも言える権利が守られているのです。

法律を決める判事に自分の意思が反映されない場合

それが、法律を決める人たちが自分の意見にそぐわないアイデアを持っていると、全く逆へと軌道修正してしまう事実。なので、人ごとではないです。憲法9条が今の日本の難題ですね。

現在の米連邦裁判所

日本にもある三権分立。これが当然ながらアメリカにもあるわけです。中道派ではありますが、民主党であるバイデン政権(中絶を選ぶ女性の権利賛成派)であっても、司法が決めることへ権力を翳すことは出来ません。

重要な内容を決定する最高裁判事は全員で9人。その内、3人が民主党派。残り6人が共和党派です。そして、6人の中の3人はトランプが過去に指名しています。そして、その3人のうちの一人、エイミー・コニー・バレットは、トランプが大統領選挙前に決定した判事です。この判事が、最もトランプ寄りの人材と言うことになります。

わたし
わたし

どうでしょうか? 見えてきたでしょうか?

なので、国の運命が最も右寄りの共和党派のイデオロギーに軌道修正されていってしまうのです。例えば、

  • 妊娠中絶反対
  • 銃規制反対
  • 移民入国の規制
  • 多様性を認めない
  • 白人至上主義

いわゆる、保守派です。

ニューヨーク市も影響はゼロでは無い。

ニューヨーク州が妊娠中絶が違法になることは無いとは思います。でも、わかりません。例えば、人工授精などに影響が出てくる可能性はあります。と言うのは、排卵誘発剤や様々な薬はニューヨーク州で作っているわけではありません。また、着床前診断にも影響する可能性はゼロでは無いでしょう。なので、今後どのように影響が出てくるかは注視するべきです。

[妊娠を選ばなかったサラ・クーパー・ヒューイット]



例えば、現在のテキサス州では?

妊娠中絶をした場合は、その手術を行った医師に重い刑が課せられることになります。例えば、懲役10年や一千万くらいの罰金など。この法律が適用された時点で、全てのテキサス州の病院では中絶を一時停止しています。

[アフィーマティブ・アクションって何?他人事ではない]

まとめ

今回は6月24日に改正されたロー対ウェイド法が覆されてしまった内容についての説明でした。難しくて、つまらない記事かもしれません。しかし、アメリカにいる日本の方々には少なからずとも知らないといけない情報だと思います。例えば、テキサス州に留学に来ていて女性が万が一の時にはこの法律が影響してきます。そして、この法改正は、日本でも他人事では無いです。法を決めるが自分の意思を繁栄しない場合、国全体が想定外の方向に進むこともあるわけです。少しでも参考になったら嬉しいです。

[ナンシーペロシ下院議長どういう人?]



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