アメリカの作家|タラ・ウェストオーバーの回想録『Educated: A Memor』

タラ・ウェストオーバー (Tara Westover) の本『Educated: A Memor』[おすすめ英書]

アメリカの作家・タラ・ウェストオーバー の回想録小説『Educated: A Memor』という本のご紹介です。この本は、2018年に出版され、ニューヨークタイムズでもかなりの高評価の小説です。また、本というか、彼女の人生経験そのものが有名になりました。この本をきっかけに著名人から注目を浴びたのです。例えば、ビルゲイツとの対話や、オプラ・ウィンフリーと対談など、YouTubeで見ることも出来ます。タラは、興味深い女性です。

タラ ウエストオーバーのプロファイル画像
タラウエストオーバー
タラ ウエストオーバーの本のカバー写真
Book cover of Educated: A Memor. The cover designed by Patrick Svensson

まず、この本は2020年のパンデミック中に読みました。米国大統領選の直前に読んだので、特にシンクロできました。また、タラ・ウエストオーバーの文章力が強力なので、1ページ目から引き込まれます。

第1章はタラの父親に関することから始まります。そして、家族の紹介や育った環境の描写が続きます。その書き方がとっても上手い。読者の想像力を膨らまします。

アメリカの教育格差が全米にあることがわかった

この本は タラ・ウエストオーバーの回想録なので、もちろん主人公の名前も「タラ」です。彼女の生まれた州はアイダホの山奥。モルモン教を崇拝する両親の元に生まれました。これが異常な状況です。

タラ ウエストオーバーの実家のイメージ画像
タラ ウエストオーバーの『Educated』のイメージ画像として使用しています。

モルモン教は、キリスト教の一派です。19世紀にジョセフ・スミスという人物によって聖書が新しく解釈されました。戒律の厳しい宗派で有名です。私が当時知っていたのは、モルモン教の言えば一夫多妻制。

しかし、一夫多妻制は廃止になったようです。この本を読むと、モルモン教がいかに偏った教育方針だったかがわかります。驚きます。

タラと長男の関係が注目点

タラの兄弟は何人もいて、その中でも彼女と長男との関係が事細かく書かれています。この本を読まないと内容は秘密です。

タラ・ウエストオーバー の英文はお手本になる

この本は一番初めの段落から、心を掴まれます。ポエティックな表現ではあるけれど、説明もしっかりしてる。頭の中に自然と想像力を働かせる書き方と言ったらいいのかな?

例えば、私はもちろんアイダホ州には行ったことがありません。タラの家族構成が少しずつ見えてきてます。描写の仕方が、現代とはかけ離れた想像の世界へ連れて行きます。

始めは昔のお話と思って読んでいました。読み進めていくうちに、「あれ、これ現代の話なの?ちょっと待って、筆者の年齢は幾つなんだ??」という感覚。一瞬時空が歪みました。

タラを調べてみたら、私より年下でした。アメリカにこんな世界があったのか!?と驚きます。英語でストーリーを書きたい人には是非読んで欲しい一冊です。

この本でアメリカの二極化が理解できる

2020年はアメリカ大統領選がありました。当時は、トランプ大統領の政権下でした。現在は、バイデン政権に代わりました。残念ながら、現在もなおアメリカは二つに分断しています。共和党支持者と民主党支持者の間には深い溝があり、どちらの要求も満たすのは極めて困難です。

この小説を読むと、タラの成長過程で両極の間に成長して行く彼女の人生が見えます。読んでいて、「これが原因だったのか」としっくり来る瞬間があるかも。

この本を読んで考えさせられた

この本で考えたこと。それは、ニューヨーカーの意見だけが正しいわけではないと言うこと。それは当たり前なのだけど、住んでいると麻痺してきます。ニューヨークが一番と思ってしまいがち。そして、この街にはリベラルが集まってくる。それは、自由を求めてニューヨークへ集まってくるからです。

そして、この街には教育を受けれるだけのお金がある人も多い。卒業後、高収入の職につく人が残る街でもあります。逆に、低賃金の仕事をするのは、移民やマイノリティに回ってしまう不平等さもあります。

タラの育った環境は?

タラの育った場所はニューヨークとは真逆です。まず宗教のせいで、教育が狭められました。読めた本は聖書のみ。両親の仕事もジャンクヤードビジネスで劣悪な環境。人種が例え白人であっても、貧乏な暮らしをしていたりします。

タラのインタビューでのセリフ

彼女の某マガジンのインタービューで

「あなたの育った場所(アイダホ州)は視野が狭いと思いますか?」と言う質問。

この質問に田舎への偏見が見られます。それに対した、タラ ウエストオーバーは

私はニューヨークシティこそ一番視野の狭い人が住んでいると思うわ。ここへ来てからもっと狭くなったと思う。ニューヨークはウーバーの前にいる人と後ろにいるで成り立っている街

某マガジンのインタビュー

実は、ニューヨークにいるリベラルや成功者ほど、わかっていないことの方が多いのでは?と言うことですね。

まとめ

いかがでしたでしょうか?今回はタラ ウエストオーバーの回想録小説『Educated』のご紹介でした。この本の概要が少しでも伝われば嬉しいです。また、この本一冊で、いろんな方面から勉強になりました。是非機会があったら読んでみてください。

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